ハマナタマメ Canavalia lineata (マメ科 ナタマメ属
 屋久島の海岸を歩いていくと、海浜植物らしい光沢のある丈夫な葉のマメ科植物が生育していた。ハマナタマメである。屋久島の海岸は北西部を除いて堆積岩であり、花崗岩の山岳地帯から砂が供給されるものの砂浜は少なく、岩石海岸となっているところが多い。屋久島でのハマナタマメの生育地は堆積岩の岩上であり、台風などによって簡単に波をかぶる場所であった。

 花を撮影していると、なんだか違和感があった。花が普通のマメ科の花とちがって、90度花が横向きにさいているからであった。どのような意味があるのか、訪花昆虫はどうなっているんだろう。この方が、着陸しやすいかもしれない。

 岡山県は島嶼が少なく、自然海岸も少なく、さらに波浪も穏やかなので海岸植生の発達する範囲も狭い。ハマナタマメのような大きくなる砂浜植物のお生育立地は少ないのだが、瀬戸内市にはハマナタマメが生育している。瀬戸内海のど真ん中まで種子が流れ着いているのである。ここでできた種子は、こんどはどこに流れていくのであろうか。岡山県では絶滅危惧U類に指定している。

 分布は千葉県以西、山形県以西の温暖な地、中国・台湾ということで、属としては熱帯・亜熱帯なのだが種としては意外に狭い。
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