ムクゲ Hibiscus syriacus (アオイ科 フヨウ属
 冬の木枯らしの中、ひからびたムクゲの果実が梢に残っていた。果実の割れ目からは毛が見える。中を割ってみると、毛の付いた種子が入っていた。ムクゲの種子は風散布であった。あちこちの荒れ地に生えるパイオニアであるムクゲの本質をかいま見た思いであった。
 風散布の種子は、簡単には風で飛ばされないよう工夫している。そよ風で飛ばされたのでは親木の近くに落ちてしまう。冬の強風にあおられて遠くに飛ばされることが望みであろう。割れ目の毛はそのような仕組みに思える。春までには朽ち果てて最終的には種子をばらまいてしまうのも、納得できる仕組みである。
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