イタビカズラ Ficus nipponica Franch. et Savat. (クワ科 イチジク属
 イタビカズラは常緑の匍匐性ツル植物であり、本州の福島県・新潟県以西、四国、九州、朝鮮、台湾、中国に分布する。森林内に生育する場合には、樹木をよじ登る形態が多く、地表を這うことは少ない。むしろ崖などの露岩上に生育していることが多い。岡山県の分布では温暖な低地に分布しているものの、偏りが見られる。これは分布が中・古生層地域に多く見られることによっており、地質的分布に偏りがあるからである。生育の初期には茎は匍匐して基物に気根で付着しているが、密集すると茎が離れて垂れ下がるようになる。乾燥するためか、地面からはなれたものでは葉は厚く、枝に密に付くようになる。あまり長い距離地面からは離れないようで、匍匐する茎から水分を吸収する必要があるためであろう。
 イタビカズラの和名は、イヌビワを「イタビ」と言い、イタビのツル性であることから付けられたものだという。同属ではあるが、ツル植物と木本とはかなりイメージが違う。しかしながら、切ってみると乳液が出る点や、葉の質感は同じ属だといわれれば、納得できる。
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