ムカゴトラノオ Bistorta vipipara (タデ科 イブキトラノオ属
 白山の高山帯、貧弱なイブキトラノオが生育していると眺めていたが、花序の下半分にムカゴができている。イブキトラノオが受精に失敗すると、ムカゴを作ることがあるんだ、と納得していたが、思い直して画像を撮影しておいた。調べてみると、ムカゴトラノオという、別種であった。

 ムカゴトラノオは本州中部以北から北半球に広く分布する多年草で、極地や高山に生育するツワモノ。まずは無性的な繁殖手段でムカゴ(肉芽)を作って確実な繁殖を行い、余裕があれば花の部分で有性生殖を行うという、極地にまで生育可能な、したたかな繁殖戦略を持っている。根生葉は長い柄があって細長く、茎葉は基部が心形となって茎に接して柄を持たない。裏面は粉白色を帯びる。7月から9月に開花し、草丈は40cmほど。
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