ユキワリイチゲ Anemone keiskeana (キンポウゲ科 イチリンソウ属
 ユキワリイチゲは本州西部から九州に分布する多年草。丘陵地帯の山際、道の側などに生育する。秋に葉を出し、3月に花を開いて初夏には地上部が枯れる。早春植物の1つであり、葉を展開している秋から春の期間に光を得ることが出来る立地に生育している。地下茎があり、群生する。根生葉は三裂し、紫色を帯びた濃い緑色で斑がある。裏面は濃紫色。3月に花茎を出し、茎葉は3枚が輪生する。花は薄く紫色を帯びている。花弁のように見えるのは顎片とのことで、花弁はないことになる。
 ユキワリイチゲの咲く頃は卒論や学会などで室内作業が忙しい時期であり、調査に出かける事が少ない。そんなわけでなかなか花に出会えなかったが、県北での会議の帰り、高速道路を使わずに所々でとまってみた。ほとんどの場所で花は終わってしまっていたが、一ヶ所だけ待っていてくれたようであった。終わりかけの花は虫に食べられたものが多く、食糧不足の季節に花粉のごちそうを提供しているようであった。ちなみに地下茎で増えるので近隣の個体は同じ遺伝子をもっており、交配しても種子が出来ない。花粉を食べられてもユキワリイチゲにはあまり問題はないのであろう。
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