ヒマラヤトキワサンザシ Pyracantha crenulata (バラ科 トキワサンザシ属
 ヒマラヤトキワサンザシはインドトキワサンザシ・カザンデマリとも呼ばれ、ヒマラヤ原産の常緑維低木。昭和初期に導入されたがあまり普及せず、戦後に改めて導入されたとのこと。図鑑等ではトキワサンザシとの区別点が明瞭に記されていない。様々なピラカンサを観察した結果、果実の大きさと色が違うという点はわかるものの、どうも釈然としない。「果実はピラカンサよりも球状になり、紅色をおびかつ密着するので美しい。果実のつき方からみると、この種が最も観賞価値がある」との塚本(1967)の原色園芸植物図鑑V花木編(保育社)の記述を最も大きな判断材料として、ヒマラヤトキワサンザシとして同定したい。
 枝は刺が小さく、トキワサンザシのように枝と刺の中間的なものはほとんどない。葉の形はトキワサンザシとは区別しにくいが、若葉では表面に黄色の毛が散生する点は、本種の特徴なのかもしれない。庭木として剪定されたものでは実付きは少ないが、集まって紅色に熟して見事である。剪定していないものでは、多数の果実によって枝は垂れ下がり、葉も見えないほどで紅色のすだれ状になってしまうものもあった。
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