カイリョウポプラ Popurus ×euroamericana (ヤナギ科 ハコヤナギ属)



 カイリョウポプラは3月の終わり頃から4月の始めにかけ、葉の展開に先立って尾状の花序を形成する。5月の終わり頃から6月の始めにかけて、綿毛のついた小さな種子が稔り、ふわふわと空中を漂う。たくさんのカイリョウポプラが植栽されているとこの綿毛が降り注いで洗濯物などに付着したり、室内にも侵入して問題になることもある。岡山市のスポーツ公園にもたくさんのカイリョウポプラが植栽されており、近所からは苦情が出されていた。種子が稔る頃に消防車で放水し、果穂を吹き飛ばしたりしていたが、結局は枝を短く刈り込むことになり、雄大なポプラ並木は見る影もなく、みすぼらしいものになってしまった。
カイリョウポプラの春カイリョウポプラの花序
カイリョウポプラ(種子)カイリョウポプラ(種子)
 中国には「柳雪」という言葉があるそうである。初夏にヤナギやポプラの仲間の種子が稔り、綿毛が降り積もってまるで雪が降っているような状態になるそうである。ヤナギの仲間の種子は小さく、綿毛を持っているので遠隔地にまで散布されやすく、氷河期が終わって温暖な気候になると、ヤナギの仲間はいち早く北上したことが花粉分析などの結果によって明らかにされている。ヤナギの仲間は、樹木としてはもっともフットワークの良い植物である。
 種子は湿った明るい場所に落下するとすぐに発芽を開始する。しかしながら短命であり、数日で寿命を終えるという。小さな種子のメリットとデメリットである。

1.カイリョウポプラ 2.カイリョウポプラの花と種子

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