ヤドリギ Viscum album var. coloratum (ビャクダン科 ヤドリギ属
 松山城の城山を登ってみようと歩いていると、城山公園の西側、堀の内側の土塁にマリモのような、造り酒屋の杉玉のようなものをたくさんつけている樹木が生育していた。平地でもヤドリギを見ることはあるが、こんなにたくさんのヤドリギをつけている木は、ブナ帯以外では見たことが無かった。

 宿主はエノキであり、さすがにこれほど寄生されるとエノキの樹勢は不良。5月でありながら葉の数がずいぶんと少ない。この土塁には何本かのエノキが生育しているが、大なり小なりこのように寄生されている。都会の中でのヤドリギの大繁殖をどのようにに考えたらよいのであろうか。隣接地にエノキが生育していないために、エノキの果実が稔るとこれら数本に小鳥が集中するのであろう。

 考えてみれば、夏緑樹が葉を落としている季節に強い光を得て光合成するのが常緑のヤドリギにとって得策であり、温暖な地域に生育する夏緑樹に寄生できればベストであり、高能率の繁殖ができているのかもしれない。しかもこの画像は5月であり、本来ならば宿主のエノキは十分に葉を茂らせているべき季節である。これほど葉が少なくなってしまうと、ヤドリギの天下ということになってしまうが、枯れていないところを見ると、ヤドリギが宿主に対して何らかの貢献あるいはコントロールを考える必要があるかもしれない。水分をポンプアップする仕事をタダでやれるとは考えにくいからである。

 ヨーロッパでは、ヤドリギは神聖なものとして、クリスマスに使われるとか。クリスマスの日にアップします。因みに、この景観はグーグルのストリートビューでも見ることができます。
松山城の城山公園のエノキに寄生するヤドリギ 松山城の城山公園のエノキに寄生するヤドリギ

 

1.ヤドリギ 2.果実 3.松山城
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top