テイカカズラ  Trachelospermum asiaticum  (キョウチクトウ科 テイカカズラ属) 
 テイカカズラは常緑のツル植物で、本州から九州に至る温暖な地方に普通なツル植物である。常緑広葉樹の優占する二次林に多いが、植林や棚田の石垣などにも良く見られる。生育状態によって姿形や葉の形に変異があり、林床に生育している場合には小さな葉を付けるが、樹木などに登って十分に光が当たるようになると大きな葉をつけて花を咲かせる。
 樹木への登る方法は気根とよばれるものであり、随所から短い根を出して樹皮に付着する。樹木に巻き付くことはないので、樹木を締め付けることはなく、あまり木に迷惑をかけないツル植物である。茎の太さは葉の量に比べて細く、太い導管も備えていない。水分消費量は少ないのであろう。あるいは茎の随所から出している気根からも水分や栄養分を吸収できるので、茎が細くても良いのかもしれない。
 花は6月頃に咲く。花筒は太い部分と細い部分からなり、画像では赤色を帯びている細い部分がその上に続く太い部分よりもはるかに長い。この点によりケテイカカズラと区別できる。
 名前のは鎌倉時代の歌人藤原定家の墓所に生えていたことに由来するという。花のイメージが定家の歌と重なるところがあったのであろうか。文才のない小生にはわからないところである。


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