サンゴジュ  Viburnum odoratissimum var. awabuki (スイカズラ科 ガマズミ属
 サンゴジュは関東地方南部以西の温暖な地方に自生する常緑の小高木。沿岸域の森林に生育するとされているが、小生はいまだ自生状態のものを見たことがない。葉は厚くて大きく、長さ20cmほどになり、乾燥にも強い。
 庭園木というよりも、生け垣として植栽されている事が多い。葉が厚いのでなかなか着火せず、材も水分を多量にふくんで燃えにくく、切り口から泡が出るのでアワブキとの別名がある(変種名に採用されている)。防火機能が高いとされており、燐家からの延焼が気になる場合には、検討されて良い生け垣かもしれない。しかし葉が大型なので、それなりのスペースがある場所が必要である。6月にたくさんの花からなる花序を形成する。花冠は5裂し、やがて反り返る。果実は秋に紅色に熟し美しい。
 サンゴジュの和名は、果実が珊瑚の加工品に似ているからである。珊瑚の加工品といってもわかりにくいかもしれない。紅朱色の珊瑚を小さな玉に加工し、その真ん中に穴をあけて金銀などの針金を通し、その先端をつぶして脱落しないように固定し、針金を組み合わせてかんざしや飾りものにした。果実の先端に雌しべの柱頭が残っており、それが房状になっている様はまさに珊瑚細工のイメージなのである。


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