ソクズ Sambucus chinensis
 ソクズは本州、四国、九州に分布し、世界では中国やタイなどに分布するとの事で、温暖な地域に生育することになる。沿岸域の林縁などに見られたりするが、同様な立地であれば常に見られるかといえばそうではなく、分布が不連続のように思う。ソクズの生態を把握できていないので、文章を書きにくい状態が続いている。

 岡山県の内陸、真庭市の河原に白い花が咲いているのを見つけ、近寄ってみた。ツルヨシに混じってソクズが花を咲かせていた。ソクズが洪水に対して特に耐性が高いとは思えないが、地下茎で繁茂できる点、草丈2mを越えて生長でき、ツルヨシに対抗できる草本である点など、定着してしまえば生育が可能なのであろう。とは言え、河原に広く生育しているとは言えず、やはり分布は限定的であった。結実を確認できなかったので、もしかすると一個体が広がったものかもしれないと思えた。

 草本で2mほどに生長する植物は多くない。草丈の高い草本は、林縁といった環境よりも水際、流れの傍などがイメージに合う。そのように見てくると、河原に生えるソクズは、これが本来の姿のように思えてくる。本来は、ゆったりとした河川の影響範囲に生育する植物であり、薬用植物でもあることから、日本には導入されたものが野生化して生育していると解釈すると、人家のほとりに生育することも理解しやすい。さて、真偽のほどはいかがであろうか。
河原に生育するソクズ
ツルヨシを圧倒しているソクズソクズの花序
ソクズの花序ソクズの花序
ソクズの花序ソクズの花と腺体
ソクズの腺体葉はやや内巻きする傾向がある
葉の表葉の裏面

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