ウラギク Aster tripolium (キク科 シオン属) |
北海道野付半島で見事な塩沼地の群落に出会った。長大な砂嘴の内湾側に発達しており、砂嘴の分岐した細かい枝の微妙な標高差に合わせて群落が見られた。砂嘴の内側は奥深い内湾になっているため波が穏やかなようで、水際まで植物が生えているのは少し奇異に感じられた。岸辺にはアマモがおびただしい量打ち揚げられており、海中に藻場が広がることを想像させる。塩沼地の群落の土は砂質から泥質であり、内湾側に向かってゆるやかに傾斜している。 潮間帯からその少し上と考えられるゾーンにアッケシソウとシバナなどがややまばらに生え、海側の最前列の群落となっていた。ウラギクは最前列から数メートル陸に入ったところに優占していた。おそらく、日常的に海水に浸かるところにはあまり生えないのだろう。 |
文章・画像:太田 謙 |