サツマイモ Ipomoea batatas Lam. var. edulis Makino |
サツマイモは熱帯アメリカ原産の多年草。小さなアサガオに似た花が咲くが、久しく見ていない。メキシコなどを原産地とする作物は数多く、代表的なものにはトウモロコシやジャガイモ、トマト、ピーマンなどがある。これらの作物の多くはコロンブスなどの大航海時代に旧世界にもたらされたものであるが、サツマイモはそれ以前にポリネシアでは栽培されていたので、古くから丸木舟に乗せられて各地に伝播したものと思われる。これもおいしいからであろうか。 サツマイモの伝播はかなり文章が残っているらしく、年代がわかっている。 フィリピン→1593年:中国→1605年:沖縄→1698年:南九州→1735:青木昆陽が下総へ
薩摩ではカライモと呼び、薩摩から千葉へもたらされると、サツマイモと名前が変わる。九州では、焼酎の原料として、その他の地域では食用として栽培されている。 |
サツマイモのイモを頂戴し、研究室の窓際に置いていた。干すと甘くなるというので、干しているつもりであったが、芽が出てしまった。そのままコップに入れて水差状態で栽培すると、葉が茂り、やがてツルが伸び始めた。葉を眺めてみると、葉柄の付け根の部分に蜜がたっぷり出ている。野外では、すぐさまアリに食べられてしまうのであろうが、アリの居ない研究室では、垂れんばかりの蜜をみることができた。 → 葉の蜜腺の役割は?参照
サツマイモの花を、昔見たことがある。サツマイモ畑が少なくなったこともあるのであろうか、長らく見ていない。もともとサツマイモは花をあまり咲かせない。品種改良するためには、この花が咲きにくいという性質は、厄介である。アサガオの根にサツマイモの茎を接木すると、花が咲きやすいという。アサガオの根は栄養分を蓄積することが出来ないので、光合成で得た産物を根に持っていけず、仕方なく花を咲かせるのであろう。結局、地上部は根に支配されているといえようか。 |