キシツツジ Rhododendron ripense (ツツジ科 ツツジ属
 連休の渋滞をかいくぐって山口県の長門峡を訪れた。狙っていたわけではなかったが、見事なキシツツジの開花を見ることができた。護岸の整備やダムなどによる洪水調節などによって少なくなってしまったキシツツジであるが、長門峡では岸壁をピンクに彩っている。流水面から1〜2m上にキシツツジが生育しており、その上に漂着物が、そしてさらにその上では樹木の生育が始まる。つまり、増水時には完全に流水の下になる立地である。キシツツジの生育立地がよく把握できる場所であった。

 長門峡は徳佐盆地から流れ出る阿武川中流の渓谷であり、水量も豊か。地質は流紋岩、安山岩質凝灰岩・凝灰角礫岩・溶岩などの火山岩類等からなる阿武層群である。火山岩ならではの岸壁の微細な亀裂がキシツツジの生育に絶好の立地を提供しているのであろう。
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top生物地球システム学科