サルビア(ヒゴロモソウ)  Salvia splendens (シソ科 アキギリ属



 サルビアはブラジル原産の一年生草本で、乾燥にも強く長期間花が咲き続けるので花壇などには欠かせない植物の1つである。サルビアが花壇に目立ち始めると、夏である。
 サルビアという名前は、属名の Salvia をそのまま使っているわけであるが、この仲間には葉に香りがあることが多く、ハーブや観賞用に多くの種が導入され、○○サルビア とか サルビア□□などと名付けられたものが園芸店の店先をにぎわせている。サルビアは花のイメージからヒゴロモソウとも呼ばれるが、最近はこの名前は廃れてしまったようである。
サルビアサルビア

 サルビアは花が大きく、観察しやすいので、シソ科植物の代表として、花の構造に着目してみよう。
 花序は下の方から咲き始め、先端に新しいつぼみを形成しながら、次第に下から上に向かって咲きあがる。長い筒状の花弁が飛び出している部位が現在開花中の花であり、それよりも下側はすでに花は終わっている。下から上まで連なっている赤いものは萼である。萼は緑である場合が多いが、サルビアの場合はこれが赤色であり、色あせて落ちてしまうまで、花が咲いているかのように見えてしまうわけである。

 萼(がく):シソ科植物の萼は筒状になっており、先端は5つに分かれているが、いくつかが合わさって上側と下側の2つになっていることもある。サルビアの場合は、上側に1枚、下側に2枚のように見える。

 花弁:シソ科植物の花は花弁が筒状になっている合弁花である。5枚の花弁が合わさっているはずであるが、多くの場合は上側と下側に分かれている程度にしか認識はできない。通常、上唇と下唇からなる2唇形の花となっている。花が終わるとこの花弁は抜け落ちる。

 雌しべと雄しべ:シソ科の雄しべは2本または4本である。右の画像を見ると、花の先端から雌しべが出ているものと出ていないものがある。上側の花からは雌しべが出ていないことに気づかれたであろうか。雄しべが先に熟して役割を終えた段階で、雌しべが伸びて花弁の外にまで出てくるわけである。雄しべが先に成熟し、その後に雌しべが成熟する。これを「雄性先熟」という。成熟する時期を違えることによって、自家受精を防止しているわけである。
1.サルビア 2.サルビア

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