ムシトリスミレ  Pinguicula vulgaris L. var. macroceras Herder 
 ムシトリスミレは高山の湿地に生える食虫植物。本州中部以北、北海道の高山の岩場や湿地に稀に生える。名前は虫取り菫であり、虫を捕らえ、菫に似た花をつけることによる。母種となる P. vulgaris は北半球のヨーロッパからユーラシア大陸に広く分布している。
 葉の長さは5cmくらいで、ロゼットは10cm弱くらいの大きさになり、やや群生する。夏に分枝しない花茎を伸ばして、淡紫色の花をつける。ムシトリスミレの葉には腺毛が密生しており、粘液に小さな虫が絡め取られる。新しい葉は中央から古い葉を押し広げるように伸びてくる。古い葉は虫を抱えたまま土に返り、栄養分を返すと考えればいいのだろうか。画像の個体は湿地の周辺にあるガンコウランやチングルマが生える草地に生育していた。図鑑によると、岩壁に生えることもあるらしい。
ムシトリスミレ Pinguicula vulgaris var. macrocerasムシトリスミレ
ムシトリスミレムシトリスミレ

文章・画像:太田 謙
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