ハマボッス Lysimachia mauritiana Lam. (サクラソウ科 オカトラノオ属) |
ハマボッスは海岸の岩場や崖地に生える越年草。東南アジア、インド、太平洋諸島の熱帯から温帯に広く分布する。日本では北海道南部から西南諸島の海岸に普通に見られる。 茎はやや赤みがかり、根元で数本に分かれ叢生しているように見える。葉は互生し、やや厚みがあり、長さ2-5cm、幅1-2cm。葉は風などの環境条件が厳しいほど、厚くより密に付くように思う。初夏に葉状の苞の腋ごとに1花をつけ、総状花序を成す。花は清楚で美しく、直径1cmほど。花序を払子(ほっす:僧侶が使う法具のひとつ)に見立て、海岸に生えることから浜払子と呼ばれるが、あまり似ているとも思えない。 右下の画像は、瀬戸内の花崗岩の海岸における生育の様子である。花崗岩に走る節理に根を張っていた。多少なりとも節理を伝わって水が流れてくるのであろう。このように波打ち際ぎりぎりの岩場にまで生育可能なのは、波の穏やかな瀬戸内ならではかもしれない。 |
文章・画像:太田 謙 |