ノビル Allium grayi (ヒガンバナ科 ネギ属
 ノビルは農耕地などの周辺に多く、自然性の高い場所には生育しないことから、農耕の伝来とともに渡来した史前帰化植物であると考えられる。このような無性的に繁殖する植物は、新天地でも条件さえあえば繁殖でき、帰化植物になりやすい。ノビルのライフサイクルは、日本の農耕歴と見事に一致している。ノビルの伝来は偶然なのか、それとも古代人も「野蒜」好きであったのか、今となっては知る由もない。
 ノビルのむかごは、初夏に散布され、夏眠して秋に発芽するのであろう。しかし、時として花茎の先端についた状態のまま、発芽しているものがある。散布されるのは梅雨の季節なので、水分的には問題はないであろうが、茂り始めた夏草の下では、定着は困難であろう。
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