ミズバショウ Lysichiton camtschatcense (サトイモ科 ミズバショウ属
 ミズバショウは兵庫県以北の本州、北海道・千島・カムチャッカ・樺太・ウスリーに分布する多年草。湿原周辺の水路や明るいハンノキ林の林床などに生育する。5月頃から葉の展開に先立って白い仏炎苞の中に棍棒状の花序を形成する。葉は夏になると大きく生長し、栄養分の多い場所では高さ1mを越えることもある。早春の可憐な花とは様相が大きく異なり、本質的には中栄養から富栄養な場所に生育する種である。
 毎年、6月になると尾瀬ヶ原のミズバショウが映像でながされる。「♪夏が来れば想い出す 遙かな尾瀬・・・ミズバショウの花が咲いている・・・♪」。実は自然分布のミズバショウの開花を見たことがない。6月の尾瀬は雪が溶けたばかりであり、湿原の植物のほとんどは芽生えておらず、あるいは芽生えていても種の同定ができないからである。平地では6月は夏の始まりであるが、尾瀬ではまだ早春なのである。
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