ジャノヒゲ Ophiopogon japonicus (キジカクシ科 ジャノヒゲ属) |
ジャノヒゲは北海道から九州、東アジアに広く分布する常緑の多年草。二次林から常緑広葉樹林にまで、林床に広く分布し、生育している。葉は細く、長さ10〜30cm、幅は2〜3mm。地下茎があり、これで群落を形成する。根は所々で紡錘形に膨れて貯水器官として機能していると思われる。7月頃に葉の間に5〜10cmの花穂を形成し、白〜淡紫色の花を咲かせる。果実は葉の根元で成熟する。葉の下に隠れており、掻き分けないと見えない。このような隠れた場所につける実は、誰が運ぶのだろう。大きさからは、鳥やネズミなどの小動物ということになる。冬の森の中で一休みしていると、カサカサと音を立てながら餌をさがしているシロハラに出会うことがある。シロハラはツグミ科の鳥で、体長24cmほどにもなる。こちらが動かないと、気づかないかのごとく近くまで寄ってくる。こんな地表面で餌を探す鳥が実を運んでいるのではないかと思う。 ジャノヒゲは園芸上では地被植物として使われ、小道の境界や広く地面を覆うように植栽されることもある。最近は葉が短い品種「タマリュウ」が使われることも多い。 |
果実は10月頃まではサファイアのような美しい緑色であり、12月にはいると深い紺色に色づく。果実に見えるものは種子であるという(子房が発達した果肉を持っていない)。皮を取り除くと、半透明の種子が出てくる。半透明の種子の部分は、ヘミセルロースからできているとのこと、でんぷんなどと違って簡単には分解できないし、果肉らしいものをほとんど持っていないので、小鳥やネズミなどの餌としてはあまり貢献しないのかもしれない。
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