ノシラン Ophiopogon jaburan キジカクシ科 ジャノヒゲ属
 ノシランは東海地方以西の本州・四国・九州・琉球、済州島に分布する多年草。温暖な沿岸域のやや湿った林下に生育する。葉はヤブランに似るがより長くて幅広く、長さ30〜80cmで先端は垂れ下がる。厚くて光沢があり、縁は平滑。花茎は長さ30〜50cmで断面は扁平、茎の太さとほぼ同じ幅の翼がある。このために花茎は倒れやすく、種子が稔ると倒れて葉の下に隠れてしまう。花期は7月から9月であり、白色から淡紫色の花が枝の咲きに3〜8個咲く。種子は長さ9〜10mmで、ジャノヒゲと同様にコバルト色に熟し、美しい。庭園などによく植栽される。
ノシラン Ophiopogon jaburanノシランの花序
ノシランの地被植栽沖縄島のノシラン
ノシランの花
ノシランの果実ノシランの果実
葉の表葉の裏面
 岡山では自然分布は確認されておらず、庭園などの植栽も少ない。おそらく温暖・小雨を特徴とする瀬戸内海気候では生育しにくいのではないかと思われる。昔は地被植物として植栽されることは少なかったのではないかと思うが、気がつくとヤブランに代わって、樹林の地被を覆っていた。ヤブランは葉の交代期に乱れる感じがあるが、ノシランはそのような感覚が少なく、好まれたのかもしれない。我が家の樹木の下もヤブランからフイリオオシマカンスゲ(Carex oshimensis 'Evergold')、さらにノシランへと変わって行った。転換時の作業は結構大変であった。ノシランが最もおとなしい。
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