ホロムイスゲ トマリスゲ クロスゲ Carex middendorffii Fr. Schm. |
ホロムイスゲは寒地のミズゴケ湿原に比較的普通に生えるスゲ類の多年草。日本では北海道や寒冷な地方に見られ、国外ではオホーツク海沿岸域に広く分布する。 茎や葉はやや硬く、高さは20−40cmくらいで、湿原の植物としてはやや大きく育つ。初夏から穂を伸ばし、晩夏に実が熟する。穂の先端は雄小穂であり、その下に雌小穂が2個か3個つく。雌小穂はよく見ると先端に小さな雄性の部分があることが多い。雌花の鱗片が黒くてよく目立つのが本種の特徴の一つである。下の画像は夏の終わりごろの様子であり、小穂はよく熟しつつある。観察してみると、黒い鱗片は穂が熟すと目立たない状態になるようである。葉だけであると見つけにくいが、果穂が大きくてよく目立つので、これがあれば比較的分かりやすい。 ホロムイスゲはミズゴケが主体となる湿原の中で、ワタスゲやヌマガヤ などの多年草と混じって点々と生える。地味ではあるが、寒冷な地方の湿原の構成種の一つである。名前は「幌向菅」の意味であり、幌向は北海道の地名である。詳しくは、ホロムイソウのページを参照していただきたい。 |
文章・画像:太田 謙 |