コイヌノハナヒゲ Rhynchospora fujiiana (カヤツリグサ科 ミカヅキグサ属) |
コイヌノハナヒゲは北海道から九州、朝鮮に分布する多年草。暖温帯域の湿原に広く分し、この仲間ではもっとも普通。7月の後半から花序を形成する。4〜5の分花序を離れた位置に形成するが、茎が細いので頭を垂れ、他の植物に寄り添う感じになる。それぞれの分花序の茎も細く、引っ張ると容易に分花序の茎は抜ける。抜けやすいのは本種の特徴の一つ。小穂は茶褐色で光沢はない。果実は狭倒卵形で逆徳利型。同属の中では、ミヤマイヌノハナヒゲと同様に細い。刺針は6本あり、果実とほぼ同長かやや長い。 コイヌノハナヒゲは茎が細く、垂れ下がって実に写真に撮りにくい。コイヌノハナヒゲが典型的に生育する立地には、モウセンゴケやサギソウなどが生育していることが多く、本種の生育が良好な湿原の目安の一つになる。 |