ノグサ Schoenus apogon (カヤツリグサ科 ノグサ属)
ノグサは湿原周辺の、湿原としてはやや乾燥した日当たりの良い裸地によく生育していることが多いが、このような立地はやがて安定して植生が回復し、1年生草本であるノグサは生育が困難になる。ノグサの古里(本拠地)はどんな場所なのであろうかと長年思っていた。最近見つけた生育地の画像を紹介しておこう。
1.香川県の五色台
安山岩の崖、水が流れ落ちる岩の壁面にノグサが生育していた。このような立地ならば、1年草のノグサも安定的に生育できる可能性がある。
2.山林火災の跡地
兵庫県の流紋岩地帯。痩せた山が頻繁に焼けている。火災跡地にノグサが群生していた。これほどの群生は初めての経験であった。画像に掲載したのは、点々と生育している状況であり、密生した場所の画像は何が何だかわからないほどであった。火災の前からある程度は生育していたのではあろうが、大変な群生である。人間が関与しない状態で、頻繁に火災が発生するとは思えないが、どちらにしても土砂崩れなどの攪乱に強く依存している植物であることは間違いない。