種子には毛があり、風によって散布される。稔っても簡単には穂から離れず、強風の時に少しづつ離れていく。ススキはどこにでも生育しており、繁殖力は強いように思われるが、稔実率は低いようで、稔らなかった花は春まで穂に着いたままとなる。種子からの成長速度は遅いほうで、じっくりと成長する。種子吹き付けなどによる法面緑化では、当初はヨモギなどが優占してススキは見えない状態であるが、3年ほどするとようやく生育が確認できる状態になり、優占するには5年以上の年月がかかる。地下茎はほとんど発達せず、株が広がって生育範囲を広げる。芽は地表直下に形成されるので、刈り取りには抵抗性があるが、チガヤほどではないので、刈り取り回数が増えるとチガヤの群落となる。
ススキは昔からカヤ拭き屋根の材料、飼料、堆肥などに利用され、農村ではこれらを調達するためにカヤ場が維持されてきた。最近はこのような草原はわずかにスキー場などで見られる程度になってしまった。カヤ拭き屋根に利用するためには枯れたススキを利用する。緑の状態では、葉や茎にたんぱく質などの栄養分が含まれており、菌類などによって腐ってしまうからである。岐阜県の白川村では茅葺き屋根の合掌造りが世界遺産に指定されている。ススキによる茅葺き屋根も、こんな方法でなければ維持できなくなっている。 |