コバノトンボソウ Platanthera tipuloides var. niponica (ラン科 ツレサギソウ属
 コバノトンボソウは北海道から九州に分布する小型の多年生草本。湿原に生育し、高さ20cmほど。植物体は繊細で茎も細く、花も黄緑色であるので花が咲いていても簡単には発見できない。1つの茎に数個の花を咲かせる。花は6月から8月に咲き、トンボがとまったような形に見えることが名前の由来となっている。葉は1枚で、花が咲かない場合には他のランと区別しにくい。
 コバノトンボソウの母種であるホソバノキソチドリは亜高山の湿原に生育する種であり、コバノトンボソウはこれよりも低い海抜の湿原に生育する。温暖な場所に発達する湿原にも時折生育がみられる。規模が小さくても、コバノトンボソウの生育する湿原は、長い歴史を持っているものと評価したい。

種名一覧にもどる / 科名一覧にもどる / 雑学目次にもどる / HPにもどる