アダン Pandanus odoratissimus   (タコノキ科 タコノキ属
 アダンは海岸の最前線に生育する常緑の小高木である。サンゴ礁の岩の多い場所でよく見る。最も海に近い場所にはクサトベラが生育することが多く、そのすぐ内陸側に密な群落を形成する。風が強い場所では、最前線に生育することもある。葉は硬く、風に強いのであろうが、それでも風に引きちぎられている様子を見ると、沖縄の風の強さに感嘆せざるを得ない。
 最初にアダンを眼にしたとき、不用意に近づいてひどいことになった。葉には強烈な棘があるが、注意深く見ていただきたい。葉は中脈で折れ、断面はV字形になっている。葉の縁の棘は上向きであるが、中脈の背に生えている棘は下向きになっている。中脈の棘はツル植物でよく見られる下向きの棘で、周辺の物に引っ掛けてよじ登る、あるいは安定しようとするものであるが、1枚の葉に上向きの棘(近寄るな!)と下向きの棘(行かないで!)があると、いったん服が引っかかると動きが取れないことになるのである。
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