カワツルモ Ruppia maritima (ヒルムシロ科 カワツルモ属) |
カワツルモは汽水域に生育する。密な群落を作り、水面に花茎を出す。花粉が水の上に落ちているところを見ると、水の流れによって花粉を媒介する、水媒花であると思われる。水の流れはあまり激しくないほうが、密な群落を形成しやすいであろう。 カワツルモに限らず、汽水域の植物の多くは淡水でも生育が可能であり、塩分を生理的に必要としているのではないようである。塩分を含む場所では耐えて生育できる植物が少なく、競争圧が低い。そのような場所で強い光を受け、カワツルモは生育している。 下段の画像は干拓地に掘られた水路に生育しているカワツルモである。カワツルモは密な群落を形成しており、その向うにキシュウスズメノヒエの群落が、さらにその向うにヨシの群落が発達している。逆にいえば、ヨシが群落を形成すると、カワツルモの生育は困難であると考えても良い。ヨシは海岸にも生育でき、生態的には幅広い立地に生育が可能な強い植物である。このように考えてみると、汽水域であり、ヨシやガマなどの大型の植物が生育しにくい条件にのみ、カワツルモは生育できることになる。このような立地の少なさがいっそうカワツルモを貴重性の高いものにしている。 |