ホソバオキナゴケ Leucobryum juniperoideum (シラガゴケ科 シラガゴケ属)
 ホソバオキナゴケは樹木の根元、切り株、朽ち木上などに丸く盛り上がった群落を形成するコケである。鉱物質土壌の上にも生育するが、多くの場合は密な群落を形成していない。典型的な群落はコケの下に有機物がたまっており、群落が発達するにつれて古い植物遺体がたまっていくのであろう。
 ホソバオキナゴケの特徴は、このような密なクッション状の群落を形成することと、その色・トーンである。和名の由来は白っぽく見える状況を白髪の翁に例えたものであろう。降雨時には色はやや緑濃くなるが、通常は白い部分が混じり、緑と白色のロマンスグレーとなっている。これは葉が葉緑素を含まない透明細胞の間に葉緑素を含む細胞が挟まっている構造になっているからであり、乾燥すると透明細胞が光を反射するからである(であると思う)。水分不足の状態では光合成ができないので、光を反射して吸収しないようにしているものと思われる。
 ホソバオキナゴケは園芸にもよく利用されており、「山苔」と呼ばれることもある。苔庭に植栽されたり、盆栽の鉢に植え込まれたりする。また、培養土に混合して用いられることもあり、ミズゴケよりも良質であるという。コケ庭にもよく利用される。

種名一覧にもどる / 科名一覧にもどる / 雑学目次にもどる / HPにもどる