ミヤマビャクシン Juniperus chinensis L. var. sargentii  Henry
 ミヤマビャクシンは高山の岩場に生える常緑の低木。北海道から中部山岳地帯、屋久島まで分布し、岡山県でも石灰岩地の岩壁にわずかに生育する。基本的には高山に分布するが、低地であっても各地に点々と見られ、地形が非常に急峻で他の高木と競争のないような立地に依存的に隔離分布するようである。庭木や盆栽として人気があり乱獲されたため、低地では個体数が少なくなった側面もある。
 幹は立ち上がらず、地表に沿ってうねりながら伸びる。枝は斜上し、葉を密に付ける。葉は風当たりの強い場所で特に密に付くが、風当たりの弱い場所では密度がやや低くなる。葉は若い段階では針葉が多いが、生長すると鱗片葉のみになるとされる。風当たりの弱い場所では枝はやや高く伸び上がるようであり、風当たりの強い場所では厳しい環境に耐え忍んで生育していることが伺われる。
文章・画像:太田 謙
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