イヌマキ Podocarpus macrophyllus (マキ科 マキ属) |
イヌマキは雌雄異株で花は5月に咲く。種子は粉青白色で、柄の上部は膨らんで暗赤色となり(この部分を花托という)、甘くて食べられる。ちょうどゼリーのグミのような食感である。この部分を釣り餌とした動物散布であろう。和名はスギの古名であるマキに、より劣るという意味のイヌを付けたもの。成長が遅いので仕立てるのに年月が必要であり、庭園木としては高級品である。最近は、より小さいラカンマキが使用されることが多くなりつつある。 岡山県では沿岸域の温暖な地域で庭木や神社などに植栽されている。しかし、森林中には時折若木を見ることがあるものの、大きく育ったものは見られないので自然分布はないのではないかと思う。庭木として植栽されている場合も樹高はあまり高くならず、5m程度にしかならないのではないかと思う。九州などでは10mを越える大きなイヌマキが庭木として植えられており、イヌマキの本来の生育地は十分な降水量のある温暖な地域であることを示唆している。 |