コウヤマキ Sciadopitys verticillata (コウヤマキ科 コウヤマキ属)
 奈良県吉野郡上北山村 大台ケ原の西地域に千石グラという岩尾根があって、下を見るのが恐ろしいほどの崖が連なっており、周囲には滝もある。この尖った尾根に点々とコウヤマキが生育している。他にも針葉樹が生育しているので、コウヤマキ林と呼べる状態ではない。樹形は美しい円錐形で遠目でも生育しているのがわかる。

 コウヤマキは、かつては北半球に広く分布していたそうであるが、現在は日本と韓国の済州島に分布しているという遺存種である。このような遺存種は、他の種が生育しにくい厳しい環境の場所であることが多いが、コウヤマキの生育状況もそのような立地である。下の横長の画像では10本前後のコウヤマキが生育している。この画像は2009年5月に撮影したものであるが、最近では針葉樹の枯損が増加しており、このような険しい場所でもニホンジカの被害が深刻のようだ。
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