大山のキャラボク Taxus cuspidata var. nana (イチイ科 イチイ属
 鳥取県大山の山頂部にはキャラボクの大群落がある。元々山体が崩れやすいためと、登山客などによるオーバーユースによって裸地化が進行してしまった。これに対処するために、大規模な緑化が実施され、一応山頂付近は緑に戻っている。しかし、キャラボクはほとんど復元していないといってよいのではないかと思われる。その原因のひとつに、新しい個体が進入・再生していないことがあげられる。種子による進入は、裸地で容易と思われ、現状のように緑化が成功してしまうと、新たな稚樹の発生がないのも致し方ない。
 ところで、大山山頂のキャラボク群落では、ほとんど実を見ることができない。種子の周りにある仮種皮はイチイと同様に甘くて食べることができる。鳥によって食べられてしまった状態を見ているのかもしれないが、種子の数がほとんどないことに関しては、この群落の存続に関して大きな不安が残る。低地(海抜500mほど)のふもとに移植されたものでは、1枚目の画像のように多くの種子を稔らせる。年によっては、大山の山頂でもこのような結実を見せることがあるのであろうか・・・・。
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