ヒロヘリアオイラガ(続き) Parasa lepida (Cramer) (鱗翅目  イラガ科)
 ヒロヘリアオイラガの棘を拡大してみると、先端が黒褐色になっている。おそらく、この部分が硬く、銛になっているのであろう。棘は軍手程度では貫通してしまうので、庭木の手入れも覚悟が必要である。根本は半透明の袋状に膨らんでおり、この部分に毒液がたくわえられているのではないかと思う。

 ヒロヘリイラガは帰化昆虫であり、森林などの自然性の高い場所では見かけたことがない。庭や公園、街路樹などの人間が作り出した環境に生息しているのが普通である。河川などの攪乱が常である場所にもいることがあり、これも帰化植物との共通性が高い。帰化生物の生育・生息環境の共通性としておもしろい。

 完全武装と思えるヒロヘリアオイラガにも様々な敵がいる。外骨格の蜂には棘は役に立たないらしく、アシナガバチなどが幼虫集団のまわりを飛んでいるのを見かける。蜂がたくさん巣をかけた年にはイラガの猛威はたいしたことない。どちらにしても刺すので、驚異である点に関しては同じである。蜂が巣を掛けたときには、特に危険な場所でない限り許容することにしている。このほか、病気も時折発生し、黒く変色した幼虫が死んでいる。集団生活なので感染すると短い間に多くの個体が罹患してしまうようである。
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