コウヤコケシノブ Hymenophyllum barbatum (コケシノブ科 コケシノブ属) |
コウヤコケシノブは、本州の青森県以南から四国、九州、琉球に分布する小型のシダ植物。普通は岩上や樹幹に着生するが、まれに地上生にもなる。根茎は細い針金状で長くはい、淡褐色の毛をわずかにつける。葉身は2〜3回羽状複葉で、長さ4〜8センチ、幅1〜3センチ。裂片の縁に不規則な鋸歯がある。胞子嚢群は裂片の頂端に単生し、胞膜は二弁状で基部まで裂け、唇部は鋸歯縁となる。谷底などの薄暗く湿った場所に生育することが多いが、極端な乾燥にも耐えられるらしい。おそらく本種も、同属のウチワゴケと同じく、乾燥期には枯れたように葉を萎縮させて葉の表面積を減らし、植物体内の水分の蒸発を抑制する仕組みをもっていると思われる。和名のコウヤは、和歌山県の高野山にちなんでいるとのこと。 |
文章・画像:森定 伸 |