保全池の水は、基本的には地下水がたまったものです(常時水位10pに設定)。これが、雨が降ると上昇し、気温が上がり蒸発量が増えると低下します。降雨により水が増えると、各池の堰から溢れ出します。増えた水が溢れ出し、水位の低下していく速度は池によって異なるようで、現在までの観察では、測水路が最も早く常時水位に戻り、三日月池が最も遅いようです。
昨年度の岡山市は、夏季に記録的な少雨に見まわれました。この影響で、全ての保全池において、底泥の一部が陸地化する状況が観察されました。渇水の影響を最も強く受けていたのは測水路であり、約2ヶ月間、池の半分以上が陸地化し、底泥の表面がひび割れるほどでした。しかし、この様な状況にありながらも、秋季の降雨により水深が回復すると、イトクズモの再生が確認されました。
本年度は昨年度のような渇水もなく、全保全池が常時、イトクズモの生育に十分な水深を維持していました。ひょうたん池と三日月池は、降水量の季節的な変化に伴い、5〜20pまでの水深の変化が観察されます。一方、側水路では季節に関係無く、常時12〜13pの水深が維持されています。暗渠をもつ側水路は、雨量の少ない時期でも他の池に比べて比較的広い範囲から地下水を確保できます。このため雨量が少なくなっても、他の池よりも水位の低下はゆっくりしたものとなると考えられます。また、水位が増加しても、余分な水が効率よく排水されているため、十分な雨量がある場合は、季節的な変化が少なくなるものと考えられます。 |