エビモは保全区域造成時に、当時の生育地から生育基盤として移設された底泥に含まれて保全区域内に侵入し定着したものです。本種はイトクズモと同じ沈水植物であり、生育に適する環境がイトクズモとよく似ています。このため、本種が過剰に繁茂すると、イトクズモの生育する空間が狭まることが予想されます。ひょうたん池における2000年4月〜2001年11月までのイトクズモとエビモの植被率を比較すると、当初はイトクズモの方が勝っていますが、最近ではエビモに圧倒されつつある状況が理解されます。ひょうたん池におけるエビモの除去方法としては、現在のところ、くま手等を用いて引き抜くなどしていますが、はっきりとした効果は得られません。また、本種がイトクズモと同様の環境に生育するため、根元から除去する場合、イトクズモとその種子の含まれている底泥をエビモ共々池外に取り出すことにもなりかねません。このため、今後のイトクズモの生育状況を見ながらエビモの管理について検討する必要があります。
一方、ひょうたん池ではイトクズモだけでなくエビモやチガヤなどの植物のほか、メダカや各種のトンボ類の生息も確認されています。休日にはトンボを採りに来た親子連れの姿も見られます。保全対策の策定時から、啓蒙的な意味付けを持つひょうたん池においては、エビモを含むより多くの植物の生育を容認する、ビオトープ池としての管理を検討することもひとつの案と考えます。 |