ナナミノキ Ilex chinensis Sims. (モチノキ科 モチノキ属) |
ナナミノキは雌雄異株であり、6月頃に淡紫色の花を咲かせる。葉腋に花序を形成し、特に雄株にはたくさんの花がつく。果実は秋に稔り、赤く熟して美しい。勢いの良い若木では枝が伸びるのでやや果実は間延びしてつくが、生長した木では枝先があまり伸びず、果実が枝先にまとまってつくのでまとまりの良い果実のつき方になる。モチノキ属は特にアメリカに多くの種類が分布しており、クリスマスの飾りにつかわれるセイヨウヒイラギ(Holly)は有名である。大きく生長したナナミノキの枝先は、セイヨウヒイラギを連想させる。 果実の中には数個の種子が入っているが、播種しても簡単には芽生えてこない。道路法面に大量に播種してみたが、結局3本ほどが幼木にまで生長しただけであった。散布された段階では種子は未熟であって、土中で完熟するためには2年ほどかかるようである。その間は、安定した湿度が保たれる必要があるものと思われる。このためか、林内ではナナミノキの幼木はほとんど見かけない。 |