ダイコン Raphanus sativus L. var. longipinnatus Backer (アブラナ科 ダイコン属) |
ダイコンは秋に種まきをして冬から春にかけて収穫する作物であり、多くのアブラナ科植物と同様に地中海型の生活環を持つ。夏にもダイコンは収穫されるが、標高の高い冷涼な地域で栽培され、花が付きにくい品種が使われる。葉はロゼットを形成して越冬し、春になると花茎を出して多くは白い花を咲かせる。食用部分が充実してくると長さも太さも長くなり、地上部が伸び上がってくる。この時期になると抜きやすく、簡単に抜ける状況を見ると栄養分や水分を吸収する根はあまり発達していないのではないかと思う。
ダイコンはアブラナ科であり、春に花を咲かせるナノハナの仲間である。品種改良がなされて多くの品種があり、春に花が咲いてしまう品種もある一方、夏でも開花しにくい品種もある。花弁は4枚であり、十字花植物と呼ぶこともある。キリスト教の象徴である十字架を連想されることから、キリスト教圏ではそのようなニュアンスが付加されている。
収穫期になると地上部が伸び上がってくる。競合する植物が生長してくるのでロゼットを持ち上げているかのよう二見えるのだが真偽のほどはわからない。ダイコンの根をみると、主根から吸収根が一列になって出ていることがわかる。黒い点になって見えるのが吸収根の出ていた位置なのだが、これがきれいに一列になっていると辛くないと言われるが、主根が伸びるのに苦労していないということかもしれない。
岡山県の蒜山(ひるぜん)地方は高冷地野菜のメッカであり、生産される夏ダイコンは「蒜山ダイコン」と呼ばれて岡山県内にとどまらず、関西圏まで広く出荷されている。土壌は有機物を大量に含んだ火山灰であり、柔らかくて根菜類の栽培に適している。
作物のほとんどは連作すると病気が発生するなど、連作障害が発生しやすいが、蒜山高原では十分な広い土地があり、適宜休耕するなどの対策が行われ、長期間にわたってダイコンの産地として維持されている。最上部の画像は岡山市北区牟佐の旭川から運ばれた土壌上に作られた畑である。江戸時代から岡山城下の重要な根菜類生産地であることが古文書などに記されている。このような砂質の土壌地は病原菌などが洗い流されてしまうためか、連作障害が発生しにくい。 |