我が家の狭い庭では次第に畑の面積が広くなり、以前に植栽されていた植物は片隅に追いやられている。6月のはじめの段階では、居間の正面にダイコンが生えており、そのほかにはトマト、キュウリ、ブロッコリー、ゴーヤ、オクラ、レタス、食用ホウズキなどが生長しつつある。
1.ダイコンのポット苗を作ってみた
講演では、キャベツやブロッコリーの苗は売ってますが、ダイコンやニンジン、ゴボウの苗は売っていません。「ダイコンを移植するとダイコンではなくなります」などと話すわけですが、実際にそのような事を経験したわけではない。これはコナラなどの直根が発達する植物を移植すると、根系に関しては、もはやコナラではないという講演のネタなのである。
今年も何度かに分けてダイコンを蒔いたのであるが、ダイコンのポット苗も作ってみた。播種から25日後にポットから抜いてみた。特に普通の花の苗と変わりは無く、中心の穴からは吸収根が出ている程度で、直根はよくわからないが、ポットの底の周辺をぐるぐる回っているのがそうかも知れないと見た。
直播とポット苗の地上部は決定的な違いはなく、直播の葉の長さが42cm、ポット苗が38cm。
抜いてみるとポット苗ダイコンの根は見事にルーピングしていた。全体を見ていただいてわかるように、やや小ぶり。根の長さに関しては、伸ばしてみるとほぼ同じ長さなのであろう。これは第一段階であり、次は間引き苗の根を見てみたくなっている。直根を切ってしまうとどうなるか?
ちなみに、無農薬のダイコンの葉は入手困難で貴重であり、ご近所も含めて大評判。曲がった根のダイコンも喜ばれて引き取られていきます。なお、根は素直に育ったものよりも辛かったです。苦労すると辛くなるというわけですね。
2.ダイコンの間引き苗を植えてみた
ダイコンは坪蒔きし、芽が出てくると勢いの良いものを残して間引く。大規模に栽培するとこれが大変な作業であり、大量の間引き菜ができる。これを植えてみるとどうなるか?
見事な又根となり、なまめかしい姿になった。状況としては、種子から芽生えて直根を出したのだが間引かれてしまい、その後に植栽され、一応直根を再生させたと評価できよう。コナラのドングリからの発芽でも、根を甲虫の幼虫に食べられてしまった個体が見事な直根を再生させた例がある。ただし再生した根は又根であった。
早い段階での移植では、直根の生長点は損傷するものの、新たに直根が再生されたが、いくつかの場所から直根が再生され、直根は複数本になることが多いということになろう。まるでチョウセンニンジンのようであるが、チョウセンニンジンも栽培の過程で移植するので、こんな状態になるのであろう。
3.直根を切って移植するとどうなるか?
樹木の移植などで、直根を切って移植する手法が採用されることが多い。マニュアルの中には、直根を切除することが活着を良好にするとの記載もある。直根を切り取って移植するとどうなるであろうか?
間引き苗の時期よりもさらに育て、ある程度ダイコンらしくなった段階で抜き取り、直根を途中から切断して植栽してみた。直根の残った上半分にはほとんど吸収根がないこともあって、移植直後は萎れてかわいそうな状態であったが、やがてきっちりと復活した。しかしながらあまり大きくはならず、植栽した時点より少し大きくなった程度。
抜いてみると直根は再生しておらず、吸収根のみがわずかに再生していたのみであり、この程度の根系であれば致し方ないという地上部の様相であった。ある程度生長すると直根は再生せず、予想通り吸収根のみの根系になることがわかった。
まとめてみると
これらのダイコンでの結果は、コナラやアベマキなどのポット苗や移植の結果と共通性が高かった。
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