ワサビ Wasabia japonica (Miq.) Matsum.   (アブラナ科 ワサビ属
 ワサビは深山の渓流の浅瀬に生える多年草で、本州、樺太に分布し、冷涼な地方で栽培される。植物全体に強い辛味があり、香り高い。根茎は円柱状に太くなり斜めに伸びる。根生葉は葉柄がやや長くて立ち上がり、葉を広げる。葉は丸みの強い心形で幅約10cm。春に根茎の先端部から花茎を出す。茎葉は互生し、根生葉より小型、花弁は白色で4枚、次々と咲く。
 ワサビをはじめアブラナ科の植物が持つ辛味は、昆虫などの食害を防ぐための防御物質であり、ワサビは強烈な辛味を持っている。しかし皮肉なことに、強烈な辛味も人間には逆に食欲をそそる結果となっている。
 刺身や寿司に欠かすことはできないが、葉柄を根と共に酒かすに漬けてわさび漬けにしたりもする。冷涼な気候を好むため、中国地方では山奥の清流で時折栽培されるが、長野県の安曇野地方では比較的平地でもたくさんのワサビ田を見ることができる。
文章・画像:太田 謙

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