ハナガガシ  Quercus hondae Makino    (ブナ科 コナラ属
 学会のエクスカーションで宮崎県の綾の照葉樹林を訪れた際に、ハナガガシにお目にかかる機会があった。宮崎大学の伊藤哲氏が発見された個体だそうである。うっそうと茂る常緑林の中でハナガガシを発見されたのは驚異である。私にとってハナガガシは、お目にかかったことのない日本産ブナ科の樹木の一つであった。「あそこに生えているのがハナガガシだよ」と教えていただいたときに感動したのを覚えている。
 生憎の小雨の降る天候であり、よく茂った薄暗い林内であまり良い写真は撮ることが出来なかったが、一応紹介しておこう。
 生育していたのは川に面した斜面下部の急傾斜地であり、傾斜角度は35度ぐらいであった。幹はすっと真っ直ぐ上に伸びており、樹高はおおむね20mより少し低いくらいであった。周辺には、アカガシやウラジロガシの巨木が林立する照葉樹林となっている。川の侵食の影響を受ける斜面であり、やや不安定な立地であることは間違いないだろう。その生育地が興味深い。
文章・画像:太田 謙
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