コナラ Quercus serrata Thunb. ex. Muuray (ブナ科 コナラ属) |
コナラは北海道から九州に分布する落葉性の高木で、冷温帯下部から暖温帯にかけて生育する。名前は「小さい葉の楢(なら)」の意味。伐採されても切り株から「ひこばえ」(萌芽)を形成して再生する。このような萌芽再生能力が高いために薪炭林の主要樹種となっており、二次林を構成する代表的な樹種である。時折神社の境内などで直径1m近いコナラの巨木に出会うことがある。里山で見慣れているコナラに比べ、すっきりと生育した姿には圧倒される。本来は冷温帯の下部から暖温帯の上部などに生育していたものであろうが、萌芽再生力が高いためにより温暖な地域で二次林を構成するようになったのではなかろうかと考えている。 葉は水分調節能力が低いようで、その代わりに根系をよく発達させている。逆に言えば、適潤地で大きく生長できる。ドングリから芽生えた稚樹は太い根を発達させる。地上部は爪楊枝ほどの太さであるが、地下部は割り箸サイズ、簡単には掘り取れない。直径20cmほどの個体の引き抜き試験を実施したことがあるが、大型のバックホーとワイヤーでも引き抜くことはできなかった。直根をよく発達させるので、土砂崩れなどの防止には大きく貢献しているものと思われる。 |