ビッチュウフウロ Geranium yoshinoi Makino (フウロソウ科 フウロソウ属) |
湿原の周辺に生育するフウロソウの仲間は、地方によって様々な種に分化している。ビッチュウフウロは備中風露」であり、岡山県の標本をもとに命名されたフウロソウである。広島県東部や島根県、岐阜県などでも点々と生育していることが確認されているが、名前の通り備中を中心とした地域の湿原に見られ、他所では個体数も生育確認地点も少ない。 花は直径2cmほどで間近に見ると脈が紫紅色であざやかであり、繊細な芸を見せて美しい。夏に開花する。根生葉は5深裂しているが、夏に延びる花茎に着く葉は3裂となる。茎は長く伸び上がり、ハンノキ林の中で1.5mの高さのイヌツゲ上で開花していたのを見た事がある。まるでツル植物のようであった。湿原に生育する植物の中では比較的耐陰性が高く、鯉ヶ窪湿原ではハンノキ林の林床に群生している。 |