ハリエニシダ Ulex europaeus (マメ科 ハリエニシダ属
 ハリエニシダの花は棘の中で咲く。棘は葉柄や中脈などの葉の一部が変化したものであろう。棘状の葉は光合成の観点からは広葉には劣るはずで、強い日照を得られる場所で生育するのを得意とするはずである。実際に森の中では生育していない。棘は草食獣による摂食への物理的対策である。棘は非常に鋭く、ジーンズも簡単に貫通してしまうので、ハリエニシダの群落を通過するのは至難のわざと言うか、難行苦行である。
 三匹の子豚がそれぞれ家を作る童話がある。二番目の子豚は木の家を作ると記憶していたが、ハリエニシダの小枝で家を作ると書かれているものもあるそうだ。そうであれば、ワラで作られた家と同様に狼の息で吹き飛ばされてしまうかもしれない。ところで、このような有棘植物で家を作ると、あるいはこのような植物を家の周りに立てかけておくと、ネズミなどからの襲撃には大きな効果があるはずで、日本のネズミサシと同様に、穀物倉庫などでは使われていたのではないかと思う。そのような習慣が童話の一部に取り入れられたとみてはどうであろうか。
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