ハリエニシダ Ulex europaeus (マメ科 ハリエニシダ属
 5月の末、スコットランドを移動していると、道路脇や牧野に黄色の花が目立つ。市街地ではエニシダであることが多かったが、郊外では(Common) Gorse あるいは Furze と呼ばれるハリエニシダであった。ハリエニシダはアイルランド、イギリス、ドイツ、オランダ、スイス、イタリア、フランス、ポルトガル、スペインなどの西ヨーロッパ原産の低木であり、樹高2mほどになる。ヨーロッパの他、アフリカやオーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、中米などで広く栽培されたり帰化しているとされる。
 エニシダと比較的近縁だそうで、幼い時期には通常の葉を持っているそうであるが、通常は葉は針に変化している。大型草食獣からの被食から逃れるためであろう。群生地は山道の周辺や牧野の境界、放棄された牧草地、河川の周辺、海岸砂丘などであった。火入れで維持されるヒースには生育していなかったので、火入れには弱いのではないかと推察した。羊や牛は、通常は食べないのではないかと思うが、明らかにヒツジによって食べられたと思われるハリエニシダのトンネルがあった。草が不足すると、少しは食べるのかもしれない。
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