クズは帰化植物?



クズの戦略−クズは帰化植物?−
 クズの生活史を見ていると、帰化植物ではないかと思えてくる。盛夏を過ぎて秋風が吹く頃になっても旺盛な成長を続けている。秋深くなっても緑葉を維持し、霜が降りて始めて枯れ葉となる。このようなライフスタイルは日本の在来種としては特異なものである。日本の在来種の多くは、夏にはそろそろ店じまいを始め、秋風が吹き始めると成長よりも来年に向けてエネルギーを貯蓄し始める
 クズは春から初秋までの期間は葉で形成した光合成した生産物を貯蓄に回さずに勢力拡大に使用し、お盆を過ぎる頃になってはじめて貯蓄を開始する。したがって、刈り取る場合にはお盆の頃に実施すると最もダメージを与えることができる。秋まで光合成産物を貯蓄にまわさず、ひたすら生長に振り向けて勢力を拡大するのがクズの戦略である。
 おまけに図体の割には稔らせる種子は小さく少ない。得た利益は主に根にため込んでいる。ため込んだ大量のエネルギーで来シーズンに更に勢力拡大を狙っている。このようなライフスタイルはどうも日本の調和的とも言える植物たちとは違っている。大昔に丸木船に乗ってやってきた植物なのかもしれないと思う。

アメリカへ渡ったクズ
 ツル植物の少ないアメリカでは、工事で発生した裸地などの緑化に苦労していた。荒れ地に生育する植物の1つとしてクズが選ばれ、持ち帰られた。茎を挿し木することによって簡単に殖やすことができるので、裸地の緑化に用いられたわけである。当初、クズによる緑化は大成功し、飼料としても優秀であったこともあって重宝がられたが、その後クズは大繁茂し、電線を切断したり牧場の小屋を覆ってしまうなどの被害が出た。現在ではアメリカ東南部のジョージア州を中心に広がっており、駆除すべき害草に指定されている。生物の導入には細心の注意が必要である。


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