クズ粉の採り方

 クズは地下茎にデンプンを貯蔵する。大きなものでは太さ20cm、長さ数メートルにもなり、これをそのまま乾燥したものが葛根(カッコン)であり、風邪のひきはじめなどに効果があるという。葛根をつぶしてデンプンを抽出したものが「クズ粉」であり、高級デンプンとして和菓子や料理などに用いられ、「吉野葛」が有名である。皮からは繊維を得ることができ、葛布として利用されたこともあった。デンプンを取る場合には、若い個体では含有量が少なく、数十年の成熟個体でなければ著しく能率が低い。



【クズ粉の作り方】
@大きく生長したクズを探し出す。
 大きく生長したクズを探し出すことが、クズ粉を抽出する際の最大のポイントである。地表を這った群落の中に生育しているクズでは、勢力拡大に多くのエネルギーを費やしており、地上部の繁茂状況に比べて地下のイモは小さくて繊維ばかりであり、クズ粉を抽出することは期待できない。森林の中で高木層までに達している太さ5cm程度のツルを探し出す。このようなクズは、クズの大群落ではなく、森林と草地との境目付近や、急傾斜地の森林などに点々と見られる場合が多い。このように大きく生長したクズの葉を見つけだすのは難しいが、幹の色が黒色であるのが一つのポイントである。

Aクズの地下茎をていねいに掘り出す。
 大きく生長したクズの根を掘り出すのは大変な作業である。少なくとも太さ10cm程はないと、大量のクズを抽出することは困難である。掘り出す際に大きな穴ができ、土砂量も予想外のものとなる。掘り採る場所の選定も大切である。

B地下茎を水洗いした後にたたきつぶす。
 デンプンをたくさん含んでいる地下茎は、木槌などで簡単につぶすことができるが、若い地下茎は繊維が多くてつぶしにくい。適当な長さに切って、丹念に叩き潰す。

Cでんぷんの抽出
 大型のバケツなどの中でつぶした葛根を水の中でもみほぐす。アクによって水は褐色になるが心配はいらない。一晩放置してデンプンを沈殿させる。大きなイモから抽出したでんぷんほど粒が大きく、短い時間で沈殿する。若いイモから抽出した場合には、沈殿に2日かかる場合もある。

Dでんぷんの精製
 上澄みを静かに交換し、底に沈殿しているでんぷんに水を加えて攪拌し、放置する。この操作を数回繰り返してデンプンを精製する。

E乾燥
 底に沈殿したデンプンを乾燥する。→完成 

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