クズ Pueraria lobata  (Willd.)Ohwi (マメ科 クズ属
 クズの葉は3小葉からなり、結構な大きさとなる。おそらく、能率の高い光合成を行っているに違いないと思わせる、旺盛な生長である。葉からの水分蒸発を補うためには、水分の豊富な立地に根を張っているに違いないが、長く伸びた茎の先端は、水分を感じさせないような礫河原の中まで伸びてきたりする。
 葉の裏面には白毛が密生しており、水分の蒸発を防ぐための毛であるに違いないと思っていたが、夏の強い日差しの中、葉の裏面を日光に向けている姿を見て、これは日射を反射させるためであるに違いないと思うに至った。十分な水分を得ることができない場合、葉の裏面を太陽に向けることによって光を反射し、光合成を行わない防御姿勢をとるのであろうと考えているわけである。小葉の付け根には膨らんだ部分があり、これが葉の向きを変える機能部分である。水分を失うと、葉が垂れてしまうのではなく、葉が上に向いてバンザイする。エネルギーを使って葉の向きを変えているのであれば、更に面白い。
 夜にも葉の裏面が上に向く。これについてはあまりよい説明ができない。ヨモギの葉 にも同様な性質があり、夜になると葉をバンザイさせて裏面が見えるようになる。昔、この現象をどのように解釈するか?と入学試験に出したことがあるが、正解かどうかは別として、すばらしい解答があった記憶がある。
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