クズ Pueraria lobata  (Willd.)Ohwi (マメ科 クズ属
 クズは帰化植物ではないか指摘する人がある。思い当たることが2点ある。その1つは帰化植物を思わせる破壊的ともいえる猛烈な繁殖力である。森を覆いつくしている状況を見ると、全山クズだけになってしまうのではないかと思えるが、多くは農耕の跡地や放棄畑であったりする。道路工事の盛り土法面でもよく繁茂している。他の植物と調和的であるとは、とても思えない姿がある。なにやらセイタカアワダチソウなどの帰化植物と同じ臭いがするわけなのだ。

 もう1点は、秋になっても生長を止めようとせず、気温が零下になって霜がおりるまで緑の葉を維持して生長しようとするからである。日本の植物は、日本の四季に対応して、9月の声を聞く頃には生長を止めて来年のために栄養分を溜め込む方針で生活して欲しい。霜が降るまで生長を続けようとする姿勢は、より温暖な地域における生長戦略であるに違いないと思うのだが、どうであろうか。

 クズの太い茎を切ってみると、ツル植物としての生長戦略が見える。下の茎は、おそらく20年ものと思うが、5つの形成層のリングが見える。この点は、フジと同じであり、環境が改善すれば、一挙に肥大できる特性を持っているともいえよう。大きく育ったクズは、葉が高い樹上にあり見つけ難いが、黒い太い幹がよい目印である。
種名一覧科名一覧雑学事典目次Top生物地球システム学科